篠田です。STP分析とは市場の中から顧客を選定する為のフレームワークで、セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングというプロセスを示しています。
市場を細分化(セグメンテーション)し、細分化した市場のどこを狙うか選定(ターゲティング)し、自社や製品の位置付けを設定(ポジショニング)することで、ターゲットのニーズにアプローチします。
STPの流れについては以下の記事で紹介しています。
今回はその中でもセグメンテーションに焦点を当ててみたいと思います。
セグメンテーションの必要性
大量生産、大量販売の時代には、より多くの商品を売る為にマスマーケティングという、市場全体(要するに世界中の全ての人)にマーケティングを仕掛ける戦略がありました。
マスマーケティングが良いとされていたのは、より多くの人にアプローチする事を考えている戦略なので、当然たくさんの数量が売れる、という事です。しかし、市場がある程度成熟してしまうと消費者のニーズは多様化し、このマスマーケティング戦略では広告費を使うばっかりで全く消費者の心に届かなくなりました。
ニーズが多様化した現代では、一部の人に心底愛される製品やサービスを作り、その人にきちんと届ける事が無駄なく利益を最大に上げる事が出来る方法です。
この「一部の人」を特定していく作業がセグメンテーションという訳です。
セグメントを特定する方法
セグメントを特定する方法はいくつかあります。どの方法を使えば良い、という訳ではなく、組み合わせて考える必要があります。
1.デモグラフィック・グループに分割する方法
最も伝統的な手法で、外観によって分類する方法です。年代、性別、職業、収入、地域等の分かりやすい情報から分類します。「30代事務職、平均以上の収入で大阪在住の女性」といった感じ。
この方法の弱点は、同じグループに属する消費者が同じようなニーズや同じような行動をとるという根拠がどこにも無い事です。
私たちも普段の生活でよくやってしまいますよね。京都人は腹黒いとか、A型は几帳面でナイーブだ、とか、私もよく言われますもんね笑
この方法によってセグメントを確定してしまうというよりも、ざっくりと分割する、くらいの感覚のほうが良いかと思います。
2.ニーズ・グループに分割する方法
「無理な運動をせずに楽して痩せたい女性」のように、ニーズによって分割する方法です。ニーズがはっきりしている為、アプローチもしやすくなります。
対象となる女性のデモグラフィック特性(年代や職業等の外観的な特性)やサイコグラフィック特性(好みや感情等の心理的な特性)まで把握出来ていればなお良いですね。
3.行動グループに分割する方法
「毎日遅くまで残業している」「毎朝コーヒーを飲んでいる」といったような行動で分割する方法です。実際の行動から分析する為、グループに共通するデモグラフィック特性やサイコグラフィック特性等を深堀りしていく事でさらなる分析が可能になります。一番消費行動と結びつきやすいグルーピングと言えるでしょう。
3つの方法を組み合わせてセグメントを設定
上記の方法で分類したグループを組み合わせてみましょう。
「デスクワークが中心で体を動かす事があまり無く元々運動も苦手。平均よりも高い収入を得ているが、勤務時間が長くあまりプライベートな時間も無いため、長時間の無理な運動をせずに楽して痩せたいと考えている35歳の独身女性。」
ここまで絞り込めばどんな製品やサービスが欲しいか、イメージが湧いてきませんか。
最近では特定の1人にまで市場を絞り込んだ「ペルソナ」を設定する事もあります。コンテンツマーケティング等でよく使われる手法ですね。
しっかりとしたセグメンテーションを行う為には
20代女性のほとんどが美に興味があるだろう、といった安直なイメージや、金回りの良いシニア世代に売り込みたいという希望から、この製品はシニア世代に売れるだろう、といった勘違いで分類しない事が大切です。
まずは最も反応が良いと考えられる小さい範囲に絞ってセグメントを考えてみてください。そこへアプローチしたときの反応を見ながら再調整していく事で貴社と相性の良いセグメントが見えてくるかと思います。
まとめ
- 多様なニーズの中から特定のニーズに絞り込むのがセグメンテーション。
- 3つの方法を組み合わせてセグメントを設定する。
- 分類する際にはデモグラフィック特性やサイコグラフィック特性を分析するとなお良し。
- 思い込みや勘違いでセグメントを設定しないこと。