黒字倒産を避けるための6つのこと

Business risk with crisis

篠田です。企業は資金が回らなくなると倒産します。利益を出しているにも関わらず、資金が回らなくなり倒産してしまうケースも珍しくありません。黒字なのに倒産する…これを黒字倒産と言います。

黒字倒産の足音は会社が順調に回っている時から聞こえ始めています。ほとんどの経営者がそれに気付かず、周りの先輩経営者(先輩といっても2〜3年しか経営していない)から「とにかく行動することが大事」だと言われ、無計画な行動をとります。

「倒産」が忍び寄ってきていたことに気付くのは肩を叩かれた時です。場合によっては気付いた時には手遅れです。黒字倒産は将来を見据え、少しのことを気をつけるだけで防げます。この記事では将来、黒字倒産をしないためのポイントをお伝えします。

目次

  • 黒字倒産はなぜ起こるのか?
  • 収支と損益の違い
  • 黒字倒産を避けるための6つのこと
  • まとめ

黒字倒産はなぜ起こるのか?

黒字倒産の要因は色々あります。「黒字倒産」というワードで検索をすると、「売上の回収の時期が遅れるから」「在庫を抱えすぎているから」という答えがよく出てきます。確かに資金繰りを悪化させる大きな要因ではありますが、実はこれらは切羽詰まるとある程度コントロール出来たり、資金を調達することで回避することが出来るので、これらだけでは黒字倒産にはなりません。

多くの中小企業の現場を見てきた経験から、黒字倒産の危機に瀕する会社のほとんどは、目の前の利益や流行に飛びつき無計画に借入をしてしまったために…もしくはリーマンショックなどの外的要因で大きな赤字が出た時に資金不足となり借入をすることになってしまったために…あとあと借入の返済が利益でまかなえなくなるケースがほとんどです。

銀行からお金を1,000万円借りた時の現預金の増加は、売上1,000万円とは当然なりませんよね。逆に、借入を返済した際の現預金の減少も、経費とはなりません(利息を除く)。借入金の増減は利益に影響を与えませんので、利益計画を立てる際には必ず借入金の返済額を考慮する必要があります。

返済額が利益計画と釣り合っていないと利益が出ているのに、お金がちっとも残らないと感じるでしょう。このような会社は要注意です。

収支と損益の違い

黒字倒産を防ぐためには資金繰りを改善することも非常に重要です。資金繰りについて考える際、まずは収支と損益の違いを認識し、現預金の増減(キャッシュフロー)と会計上の利益が一致していないことを知らなければなりません。

収支とは、収入と支出のこと、つまり現預金の増減です。損益とは、会計上の収益と費用のことです。

現預金の増減は、当然実際にお金が増えたり減ったときに認識しますが、会計上の収益と費用は、取引が発生した時点で認識するものです。

つまり、1万円の商品を売ったけれども、お金を来月受け取るような場合、このタイミングでの収益は+1万円ですが、収入はゼロです。翌月、その1万円を受け取った時には、収入は+1万円ですが、収益は前月に認識済みなので、このタイミングでは収益は増加しません。

商品を仕入れた時にも同じことが言えます。商品を8千円仕入れたが支払いは来月という場合、このタイミングでは費用8千円を認識するが、支出はゼロです。お金が減る(支出)のは当然翌月ですね。

このように、会計上の利益と実際のお金の増減のタイミングはズレます。売上と仕入だけでなく、タイミングがズレる要因となる項目は他にもたくさんあります。

ズレが発生することで、決算では黒字が確定しているのに、お金は増えていないということが起こってきます。

黒字倒産を避けるための6つのこと

日常的に気をつけること

売上の回収は1日でも早く、支払いは1日でも遅く行う

業種にもよりますが、売上の回収は翌月中には必ず行いたいものです。請求書を発行してから10日以内に回収できるのが理想です。請求書に支払期限を記載したり、取引が始まる契約時点で支払期限を明確にしておくだけでも、かなり回収遅滞は減少します。

また、支払を遅く行うことも資金繰り改善に有効です。

しかし、これらの方法は相手のいることですので、信頼関係を崩さない程度に行うようにしましょう。逆に相手が期限について極端に厳しいようであれば、取引を避けることも資金繰り改善の上で大切なことです。

在庫を持ちすぎない

大量に仕入を行っても、売れていない商品については仕入という経費には認められません。例えば年間で1,000万円仕入をし、決算の時にその内の200万円が売れていなかった場合、その年に経費となる金額は800万円だけです。お金は1,000万円使ったのに、経費になるのは800万円となるため、利益が出るのにお金がない、という事になる要因の一つです。

資金繰りを良くするためには極力在庫を持たない事が大切です。もちろん、チャンスを逃さないためにある程度の在庫を持つ必要はありますが、在庫を持たなくても上手くやれる方法は必ずありますので、無理と決め付けずに必ず在庫を減らす取り組みをしましょう

まずは、何年も売れていない不良在庫を処分するところから始めましょう。

債権の管理を徹底する

売れば、当然お金をもらわなければいけません。しかし、支払いを先延ばしにする得意先も必ず出てきます。少しでも回収が遅れたら、黄色信号だと思ってください。うっかりしてた、という理由は言い訳でしかありません。本当にうっかりしていたなら、一番大切な支払い行為をうっかりと忘れてしまう信用度の低い得意先です。

もしも回収が遅れてしまった時は、少しであっても厳しく指摘するべきです。明らかに遅れた時には、必ず毎月請求書を送ります。また電話をしたり実際に会うこともサボってはいけません

そういう得意先は、他でも支払いを先延ばしにしており、優先順位をつけて支払いをしています。優先順位を高くしてもらわないとなかなか回収は出来ません。そして、回収が出来ればさっさと取引を切りましょう。

特定の時に気をつけること

税金を払いたくないからという理由で赤字にしない

赤字である以上、会社の資金力が強化されることはありません。意図的に赤字を出す経営者がおられますが、赤字にするためには経費を支出する必要があり、資金が社外に流出します。

社内に資金を留保し、リスクに備えられる体力のある会社にするためには必ず黒字を出して、納税しなければなりません。外的要因で大きな赤字が出た時に資金が足りず、、もしくは逆に普段赤字の会社が、外的要因で急に業績が伸びたときに法人税が払えずに運転資金を銀行から借りることになることはよくある話です。

税金を極端に嫌われる方は多いですが、私の経験上、納税に理解があり毎年しっかりと納税されている経営者ほど経済力があります。もちろん、有効な節税対策はしなければなりません。しかし、税金による資金流出を避けるために、無駄な経費を使って税金以上の資金を社外流出させてしまうような行為は、経営者として三流と言えます。

借入返済額は投資した資産の減価償却費以内に抑える

借入返済額は経費にはなりません。極端に説明すると、もしあなたが年間100万円返済する必要があるのならば、法人税を引いた後の利益を100万円確保することができれば、資金は増加することも減少することもないということです。

しかし、何か資産を購入するために借入をしたのであれば、減価償却費が発生します。減価償却費は経費として毎年利益を減らしますが、お金が出ていきません

お金は減らないが利益を減らす減価償却費と、お金が減るのに利益を減らさない借入返済。

法人税などを考慮する必要もありますが、借入返済額を減価償却費よりも少なくすることが出来れば、利益と資金の増減のズレは少なくなり、黒字倒産のリスクを下げることができます

借入をするときには必ず返済計画・利益計画を立てる

借入をする前に必ず、計画を立てましょう。新しい事業に投資するための借入であれば、見込める収益やそれに伴って発生する経費、最終的に残るであろう利益をなるべく厳しめに、事前に予測しておきます。そして、その利益から借入の返済ができるかどうかを見極め、借入を実行するか判断します。

特に有効な担保を持っている方は、簡単に借入をすることが出来ます。そして、無計画に借入をしてしまうと、利益を出しても出しても税金と借入返済で消えていき、とても苦しい思いをすることになりかねません。

机上で絵が描けないことは、実際に実行できるはずがありません。必ず事前に計画を立てて、将来を見据えた行動をとりましょう。

まとめ

黒字倒産を避けるためには日々しっかりとした管理を心がけることが大切です。資金がどのように増減しているのか。一ヶ月のうち、また、一年のうち、どの時期にどれだけのお金がいるのか。このようなことをしっかりと把握する必要があります。

その上で資金繰りを改善するための方法を実践し、大きな波にも耐えられる程の資金力をつけていくことで外的要因に振り回されない強い会社となっていきます。


起業で失敗しないための7つのルール

起業して1年で3〜4割が、5年で8〜9割が廃業すると言われています。

3〜4割が事業を軌道に乗せることが出来ずに廃業します。

8〜9割が一時的にしか儲からないビジネスモデルに頼って失速し、廃業します。

安定して継続した事業を行うには基本的なルールを守り、事業の基盤をしっかりと作る必要があります。当無料メール講座を購読していただくことで基本的な経営の考え方や、創業期に力を入れるべきことが明確になります。

ぜひあなたの事業を成功へ導く第一歩にお役立てください。


詳細はこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*